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暫定日本人

[[[The Imperfect Japanese]]]

日本のマイナンバーカードをエストニアのIDカードと比べる事に大きな意味はない。

下記のエントリを読んだが、これはまずフェアではないと感じた。

記者がたまたまエストニア在住であるがために「日本対エストニア」の図式になっているが、恐らくはエストニアの事例しか知らないのだろう。

私の知る限りカードのみならず「電子政府化」ではエストニアより遥かに韓国が先進国であり、現在ではそれに他の国も追従しており、エストニアを一般的な例として取り上げることに異論がある。

加えて、他国の実情も比較することなく、加えてこれから様々な機能を付与する予定のマイナンバーカードの「現在位置」だけを切り取り「失敗」と書くのはあまりに乱暴だ。

www.from-estonia-with-love.net

そもそも国連電子政府化ランキングでエストニアはやっと昨年13位に上がった程度、機能や内容も近隣国のスエーデン、フィンランドデンマークと比較して「まだまだ」と言われている。

そして何よりこのランキングでは常に日本がエストニアを上回っている。

ではなぜエストニアが「電子政府化」のテーマでその名がよく挙がるのか?

それはとりもなおさず「国政選挙の電子投票」が2009年をもって世界で正式な初導入国となった事によるもの。トータルとしての「電子政府化」とは別の話だ。

界隈的に「電子政府化」の完結は「選挙の電子投票」との認識が強いので、これをもって「電子政府化先進国」との印象が同国に持たれているものと思う。

itpro.nikkeibp.co.jp

そもそもエストニアには後述するが固有の背景があり「電子政府化」は「選択の余地がなかった」ともいえる。

それに実名とIDを一般公開することを見て目ている点で日本と比べるべくもないだろう。

そして小国ゆえに「電子居住権」で、国外の投資家を引き込む戦略など、導入背景も極めて戦略的なもので、日本のみならず他国とも性格が大きく異なる。

これにはエストニア政府CIOタービィ・コトカ氏が過日「週刊ダイヤモンド」のインタビューで述べている。

diamond.jp

約45km2の国土に134万人という密度の低さゆえに公的機関と民間企業サービス提供にはコストがかかる。それゆえに「それしかなかった」し国民や企業に賛同も多く「急務であった」のだ。

「電子居住権」に関しては「電子上の“人口”を1000万人にまで増やしたい」と語っている。この意図を国家戦略としているのは現在エストニアだけである。

話を戻すが件のブログでは確定申告と納税手続きに関して触れているが、日本はエストニアと比べるなら、僻村と言えどもインフラはまだ整っている。

つまり現状「早期電子手続き実現にこした事はないが、そこまで切実に急務ではない」ということ。「遅い」というなら、では相対比較として国連のランキングでエストニアより上位の12ヵ国の実情も含め論じるべきであろう。

また私がよく北欧の政治施策を取り上げる際、政治家から必ず言われる事として「人口規模」がある。エストニア134万人に対し日本は1億2676万人。

134万人といえば日本の奈良県(135万人)や青森県(129万人)の人口順位30位付近の規模だ。

私が「比べる事に大きな意味はない」というのはこういうことだ。

日本が現実的に参考にすべきは人口規模から言って、アメリカ、ロシア、ドイツあたりになるだろう。

同様に道州制などの分割統治構造が日本で実現でもしない限り「国家福祉モデル」と言われる北欧500万人~1000万人規模国家の施策も直ちに導入の具体論とはならないのである。

ここでエストニア在住者のブログを紹介するが、不便さは先に挙げた奈良県青森県どころではない様子がわかる。

eatsleeptravel.xyz

また現在、徴兵も政府によりアトランダムに抽選され、インターネット上に掲示されるとの事だが、これらも日本人の感覚からすると、とてもなじめず、敬意には値するがとても「憧れ」とは言えないだろう。

今回の記者は「日本は遅れてるなあ。エストニアは進んでいて素晴らしい」と信じ切っているようだが、エストニアのスキームのまま日本では導入できないだろう。どのように反発され、批判されるかも私には予想がつく。

ちなみに日本のマイナンバーカードは「マイキープラットフォーム」部分は個人情報を使わず、ポイント機能などの話はこのICチップの事だ。

また、先輩にあたる韓国では1962年に『住民登録証』を配布登録番号をこの時付与されている。そのまま現在までバージョンアップを重ねてきたので自然に導入されているが、日本は『住民登録証(番号)』とエストニアのIDカードの機能の「複合型」と言える

日本は戸籍制度から今回いきなりカードを配布される事で抵抗を産んでしまっている。

そもそもマイナンバーカードの立て付けが窮屈な位置からスタートせざるを得なかった理由も、利用者(国民)の心配をまず排した結果で、これもまた紛れもなく「国民の声」なのだ。

※尚今回「エストニアのIDカード」と述べているものは下記。

www.jeeadis.jp